中枢神経系薬理試験のご紹介

 近年、脳科学は目覚しい進展を続けています。その進展には、げっ歯類や霊長類を用いた行動薬理学的研究や分子生物学的研究の発展が大きく貢献しているといっても過言ではありません。

(株)日本バイオリサーチセンターでは、気分障害(うつ病)、統合失調症、不安障害、認知症、パーキンソン病、虚血性脳血管障害、睡眠障害などの疾患を対象とした、げっ歯類を用いた薬効薬理試験を行うことが出来ます。

特徴の異なる様々な評価系を組み合わせることで、多方面からのアプローチも可能です。特殊な評価系をご希望の場合でも、ご要望に合わせて評価系の確立から実施致します。

まずはお問い合わせ下さい。

中枢神経系薬理試験の一例

気分障害(うつ病)

 うつ病は、現代社会が作り出した病気の一つです。過酷な仕事、仕事にまつわるプレッシャーと人間関係の複雑さに起因するストレスなどがうつ病を悪化させ、正常な判断が出来なくなり、疲労感が増加し、幻聴などが現れ、社会に順応・適応する気力がなくなり、行動、言動に異常が現れる疾患です。

うつ病に伴う軽い無気力感、不安感、絶望感、罪悪感などの精神症状の他に、食欲不振、不眠、体重減少などの身体症状がしばしば合併します。これらの症状は十分な睡眠と休で癒され、症状は回復傾向を示しますが、完全な回復には薬物療法と併せて長時間の治療が必要とされています1)

この疾患治療薬の開発にお役に立つ NBR での、うつ病様モデル、その評価方法をご紹介します。

引用文献
1) くすりの作用メカニズム(医学書院)

統合失調症

 統合失調症は、思考、知覚、感情、意欲などの脳機能が広汎に障害され、多彩な精神症状が出現する疾患です。これらの症状は一般に、陽性症状、陰性症状および認知症状に分類されています。

陽性症状は、妄想、幻覚、統制を欠いた行動・興奮など、発症すると新たに産出された様に見える異常を示します。陰性症状は、健常時の諸機能が減弱・脱落する異常を意味し、会話・思考内容の貧困化、感情鈍麻、意欲の減退・引きこもり等を含みます。認知症状は陰性症状と強く関連しており、注意を保持することの困難、学習・記憶の障害、抽象的な思考の低下などがあります。

また、統合失調症は、思春期から青年期前半を中心に発症し、慢性化しやすく、人口のおおよそ 1% が罹患する重大な障害です。薬物治療によりこれらの症状が改善を示すのは僅かであり、多くは入院生活を余儀なくされています1)

この疾患治療薬の開発にお役に立つ NBR での、統合失調症モデル、その評価方法をご紹介します。

引用文献
1) 脳神経科学イラストレイテッド 改訂第 2 版(羊土社)

不安障害

 不安は、外界からのストレスに対する正常な生理反応です。精神的には短気、神経過敏、優柔不断、無能力感、心配、恐怖などを感じ、身体的には、震え、発汗、動悸、便秘、下痢、筋緊張、頭痛などの症状が出現し、これらの不安に伴った不眠も生じます。

不安症は、社会恐怖症・広場恐怖症・パニック障害・全般性不安障害・強迫性障害・心的外傷後ストレス障害( PTSD )などに分類されています1)。これらの疾患の治療には、選択的セロトニン再取り込み阻害薬などの抗うつ薬やベンゾジアゼピン系の抗不安薬が用いられていますが、慢性化すると薬物治療による効果は得られにくくなると言われています。

この疾患治療薬の開発にお役に立つ NBR での、不安障害モデル、その評価方法をご紹介します。

引用文献
1) 図解 薬理学(医学書院)

認知症

 認知症は器質性の脳神経障害で、その原因として外傷、腫瘍、感染、炎症、血液循環、変性が挙げられ、症状として記憶、言語、認知、作業能力などに障害が現れます。

高齢者に多い認知症には脳の変性疾患に起因するアルツハイマー病、パーキンソン病があります。また、日本人に多いと言われている脳血管障害による認知症もあります。

認知症は単なる“もの忘れ”ではなく、普段の生活を送るために最低限必要な記憶・判断力に障害が生じた状態で、その症状の進行には個人差があり、症状が進行すると 1 人で暮らすことは不可能であり、介護が必要となります1)

アルツハイマー病の病因については精力的に研究されていますが、現在、本邦で承認されている唯一の治療薬は、アセチルコリンの分解を阻害することによって、アセチルコリンによる情報伝達を増大させ、症状の進行を遅らせる“アリセプト”のみです。

この疾患治療薬の開発にお役に立つ NBR での、認知症モデル、その評価方法をご紹介します。

引用文献
1) くすりの作用メカニズム(医学書院)

パーキンソン病

 パーキンソン病は神経疾患のなかでは比較的頻度が高く、高齢者での発症が多いとされています。安静時振戦、無動、筋固縮、姿勢反射障害の四主徴のほか、前屈姿勢、小刻み歩行、突進現象などの運動機能障害が認められています。

これら症状の進行には個人差があり、生活の質( QOL )は確実に悪化します。そのため日常生活動作が制約されます1)

この疾患治療には、ドパミン脱炭酸酵素阻害薬とレボドパとの配合剤などが用いられていますが、長期投与により、薬効効果の持続時間が短縮する wearing off 現象や効果の急激な変動( on-off 現象)が生じ、治療困難となる場合も生じています2)

この疾患治療薬の開発にお役に立つ NBR での、パーキンソンモデル、その評価方法をご紹介します。

引用文献
1) くすりの作用メカニズム(医学書院)
2) 図解 薬理学(医学書院)