NBR Study Navi 第108号 中期皮膚発がん性試験

第 108 号 2025 年 9 月 1 日 営業企画部発行

試験方法

試験スケジュール

使 用 動 物:マウス、Crl:CD1(ICR)、雌
イニシエーター:7,12-Dimethylbenz[a]anthracene(DMBA)
        (用量:100μg/mouse,経皮投与)
陽 性 対 照 物 質:12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA)
        (用量:4μg/mouse,経皮投与,2回/週)
試 験 方 法:マウスの背部被毛を剪毛した後、DMBA100 µgを1回、背部皮膚に投与し、
        その1週後より、被験物質を19週間、毎日経皮投与します。

評価・結果

評価項目:皮膚腫瘤の観察(数、大きさ)、病理組織学的検査
評価方法:飼育期間中は発生した皮膚腫瘤を経時的にカウントし、各群の腫瘤発生個数及び発生率を算出し、評価します。剖検終了後は、皮膚の病理組織学的検査を行います。

媒体(アセトン、エタノール)及び陽性対照物質の背景データ

皮膚腫瘤の計測

皮膚腫瘤の発生率(%)

1匹あたりの腫瘤平均個数

皮膚腫瘤の発生率及び平均個数

病理組織学的検査

表皮過形成

扁平上皮乳頭腫

角化棘細胞腫

アセトン エタノール TPA
所見
  正常 100 100 0
  表皮過形成 0 0 50 **,##
  扁平上皮乳頭腫 0 0 100 **,##
  角化棘細胞腫 0 0 35 **,##

**:P<0.01(Fisher),vsアセトン
##:P<0.01(Fisher),vsエタノール

腫瘍発生率(%)

表皮過形成 扁平上皮乳頭腫 角化棘細胞腫
アセトン 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0
エタノール 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0 0.0 ± 0.0
TPA 1.1 ± 1.5 **,## 17.9 ± 8.9 **,## 0.5 ± 0.7 **,##

**:P<0.01(Wilcoxon),vsアセトン
##:P<0.01(Wilcoxon),vsエタノール

腫瘍平均個数

結果

媒体対照のアセトン及びエタノール投与群で腫瘤はみられませんでした。
陽性対照物質のTPA投与群では、投与6週から腫瘤が確認され、投与18週
経過時には、全例で腫瘤を確認しました。
病理組織学的検査では皮膚背部における腫瘤は主に乳頭腫で、
発生率は100%でした。
以上の結果より、被験物質の発がん性の有無を予測する試験として評価
可能であることが確認できました。

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